第6話:デリカシーのない人。

「まあ、俺の部屋で寝るならそれなりに覚悟してもらわなきゃダメだけどね」


「覚悟ってなに?なんの覚悟?」


「俺さ、俺の家に来た女の子は全員、ありがたく「いただきます」することに

してんの」


「いただきますってなんですか?・・・意味分かんないんですけど」


「リンデルちゃんって処女?」


「なに聞いてるんですか?・・・いきなり」


「あのさ、天使の処女奪っちゃうってそんな経験ないよね、奪ってみたい

って男子なら誰でも思うでしょ?」


「最低?・・・デリカシーのない人・・・もう来るんじゃなかった」


「あはは、ごめん、せっかく来てくれたのに気に触ること言っちゃったかな」

「でもさ、俺を更生させるためにわざわざ来たんだろ?」

「帰っちゃったらノルマ果たせないじゃん?・・・何かを成し遂げるには

何かを犠牲にしなきゃいけないの・・・分かる?」


「犠牲って・・・それって処女を捧げろってことですか?」


「たとえばね・・・物事の仕組みってそういうもんだろって言いたかった

だけだから・・・」


「なんで私が犠牲なんか払わなきゃいけないんですか?」

「あなたが更生しないなら私は天界へ帰るだけです」

「私、神様から言われて来てるだけで、あなたがどうなろうとはっきり言って

なんの興味もないですから・・・」


「え〜興味ないって・・・傷つくよな〜」


「ってことで今夜、私ビジホに泊まります・・・」


「ダメダメ・・・ビジホなんて行かせないよ、俺にご奉仕に来た女の子をひとり

ビジホに泊まらせるなんてそんなことさせられないよ・・・」


「奉仕じゃなくて更生です」


「そんなのどっちでもいいの・・・いいから俺んちに行こうよ・・・ほら!!」


「強引」

「あのですね・・・私の言ったこと、ちゃんとに分かってます?」


「分かってるよ」

「要は俺が女の子にモテるようないい男になれるよう頑張ってる間は

リンデルちゃんは天界には帰らないってことだろ?」


「女の子にモテるいい男かどうかは知りませんけど・・・」

「その人をバカにしたようなヘラヘラへした態度といいかげんな性格と、

あと学校での成績・・・ぜ〜んぶ含めてとりあえず平均点以上取ればいいんです」


「分かった・・・そのへん難しいけど頑張ってみるからさ・・・とにかく

帰らないでほしいな・・・」


「あなたが頑張ってれば・・・まあ帰らないでおきますけど・・・」


「よかった・・・じゃ〜さっそくだけど・・・「大好き晋ちゃん」って

言ってくれる?」


「更生する気ないでしょ?・・・」


「ごめん・・・もうふざけないから・・・」


つづく。

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