これからも一緒に 二
ゆっくりと歩きながら僕と姫宮は島に入ると、様々な店が立ち並んでいる通りを抜け、石で出来た階段を上がってさらに奥に進んだ。
「やっぱりここから見る景色も綺麗だね」
僕は香織の言葉に、見渡す限り広がっている海を見ながら頷いた。
僕達は一年前に僕が香織に告白をした場所に来ていた。
「あれから一年か〜 ついこの前の事みたいに感じるね」
「本当、あっという間だったね」
僕達がそう言ってベンチに座ると、香織が苦笑いをした。
「なんか終わりみたいな雰囲気を出しているけど、まだまだこれから先も一緒に居るんだからね」
「うん、勿論だよ」
「その為にはまず受験勉強を頑張らないとね」
「うつ、明日から頑張ります」
「一緒に頑張れば絶対に大丈夫だって」
苦々しい表情の僕に、香織はそう言って励ましの言葉をくれた。
その香織の言葉を聞いて、絶対に失敗は出来ないぞ、と心の中で改めて決意を固めていると、香織の視線がリングの入った袋に向かっているのに僕は気が付いた。
「そろそろ開けて中を見てみようか」
僕がもうこれ以上は待ち切れないといった表情の香織に声を掛けると、香織は、「うん、開けてみよう!」と言って、袋に手を掛けた。
そして、袋の中に入っていた箱を開けると香織は、「わぁ」と、声を漏らした。
中に入っていたのは二つのシルバーのリングだった。
「すごいね! こんなに綺麗になるんだね!」
そう言いながら一つのリングを手に取った香織の真似をして僕も残りの一つを手に取った。
香織の言う通り、そのリングはとても綺麗になっていて店で売っていてもおかしくはない、と僕は思った。
そんな事を思いながら僕は、「香織」と名前を呼びながら、その右手を握った。
香織が、「はい」と返事をして嬉しそうに見守る中、僕は香織の右手の薬指にリングをつけた。
香織は嬉しそうに、「ありがとう」と呟くと、僕の右手を手に取った。
そうして、同じ様にしてリングを僕の右手の薬指につけると香織は、「お揃いだね」と言って、嬉しそうに笑顔を見せた。
そんな香織を見て、愛おしい気持ちで一杯になった僕は香織の事を抱き締めた。
「香織、これからもずっと一緒に居ようね」
「うん、渚、これからかもずっと一緒だよ」
そう言って僕と香織はしばらく見つめ合った後、僕は唇を近付けた。
そんな僕の動きを察した香織は静かに目をつむった。
そんな香織を見ながら僕は、この先もずっと二人で幸せに過ごせます様に、とそんな願いを込めながら香織の唇に口づけをしたのだった。
了
完璧美人の姫宮さんが僕の前でしか見せない素顔がとても可愛い 宮田弘直 @JAKB
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