第2話、僕は、精神疾患者です。

僕は、何をかくそう、精神疾患者です。田舎県のある町の障がい者施設の中のグループホームに住んでいる。僕は、今までの人生は、たいへんつまらないものだった。人々は、生きる。別に、僕が死んだって、誰にも迷惑はかからないと思う。「無責任、無価値、無意味、何で生まれてきたのか?」21歳で、東京の渋谷センター街で、奇行をして、警察に取り押さえられて、僕は、精神病院にブチ込まれた。統合失調症だった。早くも、30余年経つ。現在54歳である。精神病院を退院して、東京から、ふるさとに帰ってきた。肉体労働をする。しかし、とうとう疲れきって、この障がい者施設に入所した。社会に負けたのだった。つまはじきされた!そう、精神科医に言わせると、僕の病気は、統合失調症ではあるが、どこのジャンルにも、入らない病気であるそうだ。「異邦人」とか、「余り者」と言えそうだ。どこへ行っても、どんな職業をしても、どんなグループからも、「つまはじき者」になってしまう。だから、そこにいるために、毎日、大量の精神病薬を飲まなくてはならない。居場所のない、己のない、意味のない、空気みたいな奴だ。やがて、僕は、自然淘汰するのだろうか。この世の中に何にも残さないで…。僕の人生は、つまらないものだったと言えそうだ。

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