第2話 異世界へようこそ Welcome to another world

どこか不明な場所。

広く、白い空間


突然、コミケ会場から転生させられた5人は困惑していた。

その原因は明白であった。

自分たちが先まで着ていたコスプレ衣装はいきなり本物になっている。

人間だった5人は異種族に転生していた。


「選ばれし者たちよ、我の前に来るがよい。」


広い空間の真ん中に立っていた白い女性的シルエットが再び5人に声をかけた。


「ちょっと待ってくださいよ、これはどういうことですか?私はいきなり人間を止めている上、本物の拳銃を持っているのよ。」


「君はいいよ、ぼくなんか、いきなり性転換しているよ、女性のエルフに。」


「いくら猫好きでも半分猫になっているじゃないの?!有り得ないよ。」


「肌が鱗に覆われて、完全に竜人と化しているぜ。」


「てか、鬼だよ、肉体も見た目も、マジで誰か説明してよ。」


「選ばれし者たちよ、我の前に来るがよい。」


今度の声が直接頭の中に響いた。


全員は本能に従って、大急ぎで空間の真ん中へ向かった。


「転生させてしまって、申し訳ないが、選ばれし者である貴殿らに我が世界を救ってほしいのだ。」


「なんのこと?先ずはその理由を説明してほしいね。」


銃をホルダーにしまいながら、ハニー・バートリとなった小田原ゆかりは話した。


「百年前の予言で貴殿らのことが書かれていたのだ。異世界の更に別の異次元を模倣する勇敢な異形の戦士たちが悪の脅威で滅びかけているアシャンティを救うのと。」


「それは俺らのことってかい?」


「異形が集まる大きな祭典で5人の戦士が揃う時、転生転移すべしと予言されていたのだ。」


「なぜぼくたちなの?」


「人々が忘れられている神話を模倣する者たちこそがアシャンティの救世主となる。」


「あたしたちは超が付くほどのマイナーなものが好きだと思うけど、まさかそれ?」


「比類なき力、正義の心と深い慈悲で暗黒の悪の魔王を討つと。」


「比類なき力?俺たちはただゲームや漫画の主人公のコスプレをしただけだ。」


「我が名はアシュタル、このアシャンティの神である。魔王タローウンを倒して、悪から世界を救ってほしい。」


白いシルエットが鮮明になり、白いガウンを着ていた長い黒髪の美しい女性の姿になった。背中に無垢な白さの天使のような翼、額の上に優雅に伸びる1本の白い角、大きな青い目がはっきると全員の目に映った。


「アシャンティってこの世界の名前なの?」


「はい、人間、亜人、魔族が暮らす世界なのだ。」


「そのタローウンって野郎はここの住民か?」


「異世界から来たのだ。」


「ぼくたちのように、あなたが呼び寄せたの?」


「違う、魔王タローウンが元の世界から逃げるため、自分で転生したのだ。」


「どこの世界から来たの?あたしたちと同じ世界なの?」


「同じ世界なのだ。」


「その魔王は俺たちと同じ日本人ということか?」


「はい。選ばれし者たちと同じ国なのだ。」


「その魔王はいつ転生したの?私たちよりずっと前なの?」


「10年前。突如現れ、配下を召喚し、この世界の住民の蹂躙を始めたのだ。」


「この世界の人間をですか?」


「人間だけではなく、生きている者すべてだ。」


「あの魔王野郎はどこの種族か?」


「深紅のローブを着た、最高位の炎(ファイアー)の悪魔(デーモン)、悪魔(デーモン)卿(ロード)。」


「赤いローブを着ている悪魔(デーモン)卿(ロード)なの?」


全員は佐治・サチコとなった安田みのりを見た。


「知っているのか?俺たちに教えてくれ。」


「あの伝説なクソゲー、【ダーク・ヒストリー・ワールド】だよ。でもゲーム内ではただ単に【魔王】と呼ばれていた。タローウンはおそらく自分の本名をもじった名だと思うよ。」


全員は目を見開いた。


「まさか?!!私たちがあの無双魔王に勝ってるのか?」


ハニー・バートリとなった小田原ゆかりはつぶやいた。


「選ばれし者たちよ、どういうことなのだ?」


女神アシュタルは今度質問した。


「女神さんよ、あの魔王は俺らの世界の最悪と言われたゲームの無敵のメイン悪役なんだぜ、誰も攻略できず、すぐに発売中止となった伝説のクソゲー。」


仁義なき竜ノ助となった高橋宗一は説明した。


「女神様、その予言はいつ書かれたの?」


バーサーカー・ユイナーとなった小田秀斗は女神アシュタルに質問した。


「100年前、ワーウルフの預言者、ライカンループスの手により。」


「ライカンループスって、平成30年で数話で打ち切りとなったあの超マイナー漫画【世界破滅協奏曲】の預言者なの。」


ハニー・バートリは説明した。


「この世界に俺たちと同じように転生した日本人は古くから来ているってことだよな。」


鬼切丸となった佐藤匠が説明した。


「アシャンティには時折、異世界から勇者、賢者、悪魔など転生するが、魔王タローウンのような全生命を蹂躙しょうとする者は初めてなのだ。」


「あたしたちは勝つかどうかわからないが、できるだけ詳しく魔王タローウンについて教えてください、女神様。」


佐治・サチコは女神アシュタルにお願いした。


「説明します、選ばれし者たちよ。」


アシュタルは今までの経緯を説明し始めた。




次回:魔王

日本語未修正












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る