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わたしが配信を最近やっていないことには、こころちゃんもチナツちゃんも触れなかった。チナツちゃんが触れないのは少し意外だった。いつものカフェで、ふたりが話している。自分の配信であったこととかを話していた。
カフェに入ったとき、向こうのところで、あの店員さんが女の人と座って話していた。こちらに気づいて軽く会釈したとき、一度だけ女の人も少しこちらを見た。
もう知らないことだ、と思い、そのまま考えずに目をそらした。店員さんの彼女なんだろうけど、そうではないのかもしれない。
女の人と店員さんは似合っている。店員さんがものを取るしぐさ、女の人が身をずらす姿、全て呼吸はぴったりと合っていて、自分の余地などどこにも無いと直ぐに分かった。
今晩に一緒に配信をしよう、とわたしが言うと、こころちゃんは必要以上に喜んだ。こころちゃんらしく、わたしのことをちょっと本気で心配していたようだ。わたしは、
「楽しみだね」
と言った。
ふたりは返事もしないまま、何か少し迷った感じで、わたしの表情をじっと見ていた。なにか変なことを言っただろうか。今晩の配信が「楽しみだね」と言っただけだ。わたしの表情が悪かったんだろうか。自分がどういう表情をしているか、自分では分からなかった。
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