第5話 光の心霊体験談

「レイナちゃん!レイナちゃん!レイナちゃん!大変だよ!!大ニュース!!」


騒ぎながら私のところに来たのは筑紫つくしひかり、この間の飲み会から何故かやけに私に懐いてきた。元々中は良かったけどあまりベタベタしていた訳ではなく、普通に話す位だったんだけど…


「なぁに?どうせくだらないことでしょ?」


「大ニュースなんですよ!知ってました?竹本先輩についに彼女が出来たらしいんです!!」


「ブッ…」


私は飲みかけたコーヒーを吹き掛けた。貴志の彼女って私なんですけど、内緒にしてるはずなんですけど!?あの心霊オタクなにしてんのぉぉぉぉぉ!!秘密だっていったじゃん!!


「そ、そうなんだ、それのどこが大ニュースなの?」


「えぇ?!レイナちゃん知らないの?!竹本先輩って結構モテるのに今まで告白されても誰もオッケー貰った人いないんですよ?今でも狙ってる人沢山いるんですよ?」


「へ、へぇー」


「しごできだし、優しいし、あんな人が彼氏とか鼻が高いですよねー!羨ましいなー彼女に慣れた人」


ただの心霊オタクですよ?優しい?嫌だって言っても心霊スポット連れていかれますよ?


「それはそうと光、あんた最近心霊スポットに行くのにハマってるって聞いたけど…」


「え?誰から聞いたんですか?」


「新人のあれ、誰だったかしら?ロングヘアの上品な子よ、えっと…やま、やま…」


山田依子やまだよりこです。」


「そう!そう!山田さんよ!」


光と二人で休憩所のテーブルを挟んで話していたら、後ろから声がしたので振り向いた。


「や、山田さん!」


「あ〜、よりりん!」


「先輩、そろそろ名前覚えて下さい。」


「わ、忘れてたわけじゃないのよ?ごめんね?」


「で?なんで私の名前がでてたんですか?」


「ほら、この間言ってたでしょ?光が心霊スポットにハマってるって。」


「あー、言いましたね。」


山田さんが私達が座っていたテーブルに一緒に座った。三角形を作るように3人でテーブルを囲み話し始めた。


「なんか休み前になると、友達と一緒に色んな心霊スポット行って遊んでるからって、私も誘われたんですよ。」


「そうなんですよ!よりりん誘ったのに行かないって言うんですよー!」


「え?普通じゃない?あんたがおかしのよ?光」


「えー?!レイナちゃん酷い!」


「ちょっと筑紫さん、先輩をそんな風に呼んだら失礼よ。」


「えーいいじゃん。」


「で?光はどこ行ってきたの?」


「前回は関東最強と言われる心霊スポットで千良ちら県にある廃ホテルの生魚いきぎょってとこに行ってきたんですよー!」


自慢げに腰に手を当ててえっへんとか言いながら私と山田さんを交互に見ていると、たまたま通りがかった貴志が光の真後ろから声を掛けた。


「また面白そうな話をしているね。筑紫さん」


「やっぱりそう思います?!って竹本先輩!こんにちわです!」


「竹本さん、コーヒーですか?」


「えぇ、タバコ吸い終わったのでコーヒーでも飲もうと思ったら犬神さんが見えたので。」


「竹本先輩!はじめまして!や、山田依子です!よろしくお願いします!」


山田さんが貴志を見て急にハキハキ話し始めた。貴志もテーブルについて話に混じる…そうかそうか、次の心霊スポットは生魚か…明日またお父さんにお参りに行こう…。


「で?筑紫さんは生魚に行ってきたんだよね?」


「そうなんですよー!聞いてくださいよ!実はまた変なの見たんですよねー!私って霊感あるんですかね?」


「そんなのはどうでもいんだけど、ダメだよね?生魚って廃墟だけど、多分所有者居るよね?ちゃんと許可貰ったの?」


「え?え?…貰ってないと思います…」


「心霊スポット行くのが趣味で行くのはいいと思うんだけどね、ああゆうとこって今うるさいじゃないですか。SNSで炎上したり、リューチューブで晒されたり、その辺は考えてますか?もしそんなとこ行って何かあっても会社は守らないんですよ?」


「はい、…すみませんでした…」


「はい、行くなら安全な所に…って心霊スポットに安全とか少ないか。」


「ちょっと竹本さん、そんな言い方したら光が可哀想じゃないですか!」

『ちょっと貴志!あんたがそれ言うの?光が可哀想でしょ!』


「犬神さん、こうゆうのはちゃんと話しておかないと行けないんですよ。」

『レイナ、心スポであんな目に会わないように注意してるんだよ。』


「でも、たかが心霊スポットに行ったって話しじゃないですか。」

『そんな言い方するならもう心霊スポットなんて行かないからね!』


「言ってもいいですが、不法侵入はいけませんと言ってるんですよ。」

『ちょ!なんでそうなるのさ!?』


私達が心の声で言い争っていると光が慌てて間に入ってきた。


「先輩!私が悪かったです!もう廃墟系は行かないようにするので!レイナちゃんも、ね!」


「先輩、私からも筑紫さんに言い聞かせますから、落ち着いてください!」


「あ、いや、別に…ねぇ?竹本さん。」


「そ、そうですね、熱くなってすみませんでした。お詫びと言ってはなんですが、筑紫さんの話を聞いても?生魚で何があったんですか?」


貴志がそう言うと光の顔がイキイキして話を始めた。


「実はねすね、友達と生魚に行こうって友達の運転で高速道路使って近金まで行ったんです。

高速道路を降りて少し走った右側にある廃墟ホテルなんですけどね、行く前にコンビニに行こうって話になったんですよ、コンビニで買い物中にちょっと大きい声で生魚の話しになって、まぁでも深夜で誰もお客さんいなかったんでまぁいっかって話ししてたんです。で、レジに行ってお会計が1200円ちょうどだったので現金で支払いして、お買い物も終わって車に戻ろうとしたら店員さんに『気をつけてください、今日は怖いですよ』って言われて…怖いところに行くから大丈夫ですって言ったんですよ。友達の車が生魚の入口に着くとあたりは真っ暗…って訳でもなくて、生魚の奥には営業中のホテルや民家なんかもあったので静かに入る事にしたんです。車停めた所から生魚の入口までは200m位あるんですね、またその200mが怖いんですよ!車停めたあたりは光あるのにその道は両端が鬱蒼とした草や木で光を遮られてるから真っ暗なんです!!その道を奥まで進むとトタンの一部が切り取られていてそこが入口になってるんですよね!しかも小さいし不気味な感じで木が生えてるんですよー!!怖すぎたんですけどここまで来たんだしってことで、勇気を決して中に入ったんですね。少し進むと生魚の建物が見えてきたんです。物の見事に廃墟でガラスとかは散らかってるし、誰かの悪ふざけなのかお線香の燃えカスとかあるし、ほんと最悪だったんですけど…探索しようってなって1階の手前から見て行ったんです。1階は駐車場だったのか広いスペースになっているんですね、いわゆるメゾネット式のフロントスルーできるホテルだと思うんです。ひとつひとつ調べていくとかなり荒らされているんですが、建物自体は鉄筋でできているから壊れるとかは無いんです。1階を調べ終わった私達は2回に上がると、噂になっている火事の部屋と赤い部屋を探したんですよ、2階の入口から左右に部屋が何個もあって1個1個見て回ると火事のあった部屋を最初に見つけたんです。懐中電灯で中を照らすと焼けてすすになった柱や天井が見えて当時の悲惨さがよくわかりました。赤い部屋も発見しましたよ、でもこの部屋はあまり好きになれませんでした。だってきったなかったので…と、まぁ一通り見て回ったんで帰ろうかって話になったんですよ、部屋から出て表階段からしたにもどろうってなったんですね。みんなで何も無かったねーって話して表階段に出た時なんですよ。友達のひとりが奥から音がするって言うんです、全員その場にいるので奥に誰かいることは無いんですよ、他に人も来てなかったので。で、ですよ?シーンとなった廃屋で耳を澄ますと…床に散らばった硝子がパリン…パリンって何も無いのに、誰も何もしていないのに弾け始めたんですよ!みんなで顔を見合わせてダッシュで逃げようとして、私1番最後になっちゃったんです、ふっと気になって後ろ振り向いたら…今聞いた中で1番大きい硝子が割れる音がして、もうその後は逃げるように帰ってきたんですよ。」


光は思い出して体をブルって震わせてた、貴志くんを見ると興味津々に話を聞いて瞳を輝かせていた…あ〜うん、だよね〜。その反応、出てますよ心霊オタク!!


「竹本先輩?筑紫さんの話信じるんですか?」


「あ、え?いや、まぁそんなことあった面白いなーって聞いてただけだよ?うん。山田さんはこの手の話平気なあの?」


「わ、私はそ、そうですね大丈夫です…あ、そろそろ行かないと仕事頑張って終わらせちゃいましょ!」


山田さんの言葉でみんな解散する、多分貴志は…行く気だよね…。そう思ってたら早速RINEが入ってきたよ…はぁ。

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