第3話 怪談話
「この話は先輩の知り合いの友達から聞いた話なんですけどね、仮にその人をAさんとします。そのAさんが体験した話なんですよ。北海道で高校まで過ごしていたAさんは大学進学と共に東京に上京してきたんだ、上京するにあたって一人暮らしになるからと不動産屋で物件を紹介してもらったらしいんだよね。学生だしお金もないからとにかく安いところで探したんだ。そしたら普段は紹介してない物件なんだけどって言いながら出てきた物件があったのさ。実際そこら辺の他の物件と比べると2万も安かったってのもあってすぐに内見に向かったのよ。間取り的にはワンルームだったんだけど、ロフトが付いていて中々いい感じだったので直ぐに契約することにしたのさ。住んでみると大学にも近いし見つけたバイト先にも近いし、しかも安いって最高の物件だなーとか思ってたらしいんだけど、数週間してからあることに気がついたらしいんだ。そのあることっていのが、夜中の2時になると決まってある音がするらしい...。バイトも終わって夜の22時に帰ってきて眠りについていると、窓の外からノックするようなコンコンっていう音が聞こえるらしい。最初の内は特に気にしてなかったんだけど、毎回毎回なるものだから気になって気になってなった瞬間にカーテンを開けてやろうと思ってある日待ち構えてたらしい。バイトが終わり、やることを済ませて待ち構えたていると、夜中2時に例の音が下からカーテン開けて注意しようとカーテンを開けた時...血だらけのスーツ着た男が『助けて...』って言いながら指先だけでガラスをトントンとやって直ぐに消えたらしい...Aさんは怖くなって着の身着のままでバイト先のコンビニに駆け込むと今あった出来事をバイト仲間に話したんだ。そしたらバイト仲間が、お前知らなかったの?有名だぜ?って。Aさんはすぐにその部屋を引き払ったって話、今でもその部屋には夜中になるとトントンと窓ガラスを叩かれるらしい...」
仕事が終わって仲のいい仲間で飲みに来ていると同僚の1人がいきなり怪談を話し始めた。以前の私なら怖がっていたのだろうけど、満天隧道の体験をしてからというもの多少の怪談なんかでは怖がらなくなっていた。
「あれぇ?犬神さん怖くなかったですか?」
そう言って怪談を話していたこの人は新人の
「あー、うん。」
他に一緒に来ていた新人の女の子達は怖い怖い言いながら耳を塞いだり、やめてよ!とか言いながら2人で抱き合っている。可愛いよねー、うん、私も誰かに抱きつきたいって思いながら隣の貴志くんを見ると、興味無さそうにコーラを飲んでいた。あれ?貴志くんオカルトオタクのくせに怪談に興味無いのかな?とか思いながら私も頼んでいたワインを一口飲んだ。私の視線に気がついた貴志くんはみんなに分からないように外に出てと合図を出す。貴志くんはタバコ、私は化粧直しと言って別々に外に出る。
外に出た私はタバコを吸っている貴志くんを見つけると近寄って言った。
「なんか不思議そうな顔してたけど、どしたの?」
「え?貴志くんオカルトオタクなのに怪談に興味無いなさそうだったからさ。なんでかなって。」
「あ〜、レイナちゃんは今の話聞いてどう思ったの?」
「え?普通の子ならやっぱり怖がるのかなーって?」
「レイナちゃんだって普通の子じゃんw」
「いやぁ、あれ体験したらあんな話怖いの対象にならないよ...」
「まぁそうだね。俺は真野くんの話の入りで萎えた。っていうかさ、先輩の知りたいの友達ってどんだけ遠いいんだよって。信ぴょう性の欠けらも無いじゃん?作り話かもしれないじゃん?どこかで話がねじ曲がった可能性もあるしね。」
「ふーん」
「怪談は好きだけど、信ぴょう性の無いのはどうでもいいかな?」
そんな事を話してタバコを吸っていたからとりあえず私だけ先に席に戻ることにした。
「犬神さん遅いっすよー!取っておきの話今からするんで聞いてください。」
そう言うとまた話しをしようとした所に貴志くんが戻ってきた。
「そろそろいい時間だし、お開きにしようか。」
貴志くんがそう言うと女の子達はほっとして帰る支度をする。
「あれ?竹本先輩怖いんっすか?」
何故か貴志くんに突っかかる真野くんだけど、貴志くんは一切気にしていないようで、笑顔で交わしていると思ったら真野くんに近付き耳打ちをした。耳打ちされた真野くんは顔が青ざめて貴志くんの言う事に素直に従う。会計を済ました私達は3人と2人に別れた。
「それじゃ、今日はお疲れ様。また飲みに行きましょ。」
真野くんと女の子1人はまたこれからカラオケに行くと言っていた。私達は貴志くんの車で帰ることにした。一緒に乗った子は
「ねー、レイナ先輩、真野くんのあの話どう思いました?」
「え?特になんとも…」
「ですよねー、あれで怖がらせるとか…アホなんですかね?」
「アホって、なかなか言うね筑紫さん」
「えー?だって竹本先輩もそう思いません?」
「ん、まぁねぇ…筑紫さんは他にもっと怖い話知ってるとかなの?」
貴志くんがそれとなく怖い話聞いてる、嫌な予感するんだけど…
「聞いてくれるんですか!?実は取っておきのがあるんですよー!!」
「え?光ちゃん怖い話だめなんじゃないの?」
「えー?大好物ですよー?」
「いいねー、教えて教えて!」
「竹本先輩も好きなんですか?!じゃあ取っておき話しますね。私の体験談なんですけど…先輩達はママブ湖の吊り橋って聞いたことあります?実はこの間、知り合いといってきたんですよ!そしたら…」
私はちょっとゾクッとした感覚を覚えて体を小さくした。
「そしたら…見ちゃったかもしれないんですよ!飛び降り自殺!橋の上からぴよーん!って誰かが飛ぶの見たんですよ!でもおかしいんですよね。私以外誰も見てないって言うんです。4人で行ったのに誰も、多分あれ幽霊ってやつですよ。」
4人中の1人しか見ていないって事は…もしかしたらほんとに見間違いなのかな?良かったー、あまり怖い話じゃ…あれ?貴志くん?顔が…
「すごい体験したね筑紫さん、俺もそんな体験してみたいなー…ね?犬神さん。」
なんで私に振るのよ!!私はもう行かないって決めたんだから!もうあんな体験しなくていいの!行くなら光ちゃんと言ってくればいいじゃない!
「あ、先輩!私この辺で大丈夫です。ありがとうございました!また飲みに連れて行ってください!レイナ先輩もまたねー!お疲れ様でした!」
そう言って光ちゃんは車を降りていった。
「いやー、最後にいい話聞けたねー!ん?どうしたのレイナちゃん?」
「私は行かないからね!」
「急にどうしたのさ?」
「だって貴志くん行くつもりでしょ?ママブ湖!」
「あー、そうかそうか。大丈夫だよ?」
「なんだ、わかってるなら良かった。」
わかってるなら安心だよね。おうち帰ってゆっくり寝よーっと…
あれ?私ちょっと寝ちゃったのかな?まだつかな…どこここ!
「貴志くん!何処ここ!」
「あ、おきた?ここは
「行かないって言ったじゃん!」
「えぇ?!行かないってあれ本気だったの?てっきり俺1人で行こうと思ってたのがバレて怒って、行かない!って行ったのかと…」
「なら尚更連れてきちゃダメじゃん!」
「いや、ほら、良くゆうじゃん?押すなは押せって意味だって…」
「それは芸人さんの話でしょ?!私は芸人さんじゃないの!!」
「わかったわかった、じゃあ吊り橋には俺1人で行くからレイナちゃんは車でまってなよ。」
「っんもう。わかった。」
こうしてママブ湖の吊り橋に連れていかれることになった…何も無ければいいなぁと思いなが着くまでの道を見ながら私は時間が過ぎるのを待っていた。
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