第15話
「…いえ。いつも…も、たいていはあんな感じでマイペースなんですが…今日はちょっと、感じが違いました…」
あたしが視線を逸らしたまま、そう紡ぐとおじ様がクスッと笑う。
「…なぜだか分かるかぃ?」
その質問にあたしはまたキョトンとした。
「いえ…」
あたしが答えると、おじ様はいつもよりもずっと優しい笑顔を浮かべる。
「克穂はね、ずっと千亜稀ちゃんをここに呼びたかったんだ。だから今日連れてくることが出来て、本当はとても喜んでいる。……これはあくまで父親の勘だけどね」
最後にそう付け加え、おじ様は肘置きに悠々と肘をつき、笑みを広げた。
そんな意外な発言に、あたしは大きなキョトンをする。
「へ…?あれで…」
…喜んでる?
じゃ、じゃぁ…意地悪に拍車がかかっているのは…
「愛情の裏返し。ってやつだね。まだまだ克穂も幼いな。――では、楽しんで。私は退席させてもらうよ」
「――!」
そう言って、おじ様は陽気に笑う。
ボッと頬の赤らんだあたしを置いて、おじ様は部屋を出て行った。
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