第14話

そこには、産まれたばかりの王子。



赤ちゃんのくせにやたらをしっかりした顔立ち。



透き通る肌は、今よりもずっと白い。



まつ毛がまだ短くて、なのに綺麗なまぶたは今と変わらない。



手のひらなんてこんなに小さい!



気がつけば、おじ様があたしの膝にアルバムを移してくれていた。



ページをめくる度、王子の歴史に触れていく。



「………。」



そう思うと、言葉にならない感情があたしの中に沸き起こっていた。



徐々に大きくなる王子。



初めて歩いた日、と書かれたページには、よちよちの王子の姿。



青色のベビー服を着せられて、そしてお気に入りだったのだろうか。



布でできたバスケットボールを口元に置いて、こちらを振り返っている。



(ヤバい…、胸キュンが止まない!!)



この時には既に、茶色の髪は少しだけ癖っ毛で…。



振り向くだけで、まつげが見える。



顔の整った、小さい頃から分かる少しだけ凛とした雰囲気。




「―――…」



少しだけ、胸の奥がキュンとなる。



ページをめくるごとに、どんどん大きくなる王子は、やっぱり本物の王子様だった。



小学2~3年生だと思われる時には、ベレー帽のようなものを被せられて、何か長い楽器を持たされている。



目もクリクリ。



「これは、イギリスに行った時の写真だ。エミリーと知り合ったのはこれくらいの時だったかな。もちろん陽聖も、この頃にエミリーと知り合った。昔からなぜか、克穂の方がモテていてね。この頃から陽聖は何かと克穂をライバル視していた」



おじ様の言葉に、あたしは再び視線を落とす。



ミニチュア王子。



咲人くんに似てるだろうって思ってたけど、目許はやっぱりおじ様似だ。



可愛い咲人くんとは、またちょっと印象が違う。



あたしは無言のまま、アルバムを凝視していると、おじ様が再び口を開いた。



「…克穂はいつも、あんな感じなのかな?」



優雅に頬杖をついているおじ様が優しく言う。




あたしは、さっきの自分勝手に部屋に戻った王子を思い出して、おじ様に言った。

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