第11話

おば様、今でさえあんなに可愛らしいんだから、さぞかし可愛かったんだろうなぁ~…。



おじ様だって、妄想メーターが振り切るくらいモテモテだったんだろうなぁ~…。




「うふふ」と、あたしは笑う。



ガシッ!



「ッ!!」



それと同時に、頭の上に痛いほどの圧迫。



「人の色恋想像して、ニヤけてるなんていい度胸」



相手にされていないと分かった時の王子は、非常に怖い。



その言葉の裏に“俺を放置するなんていい度胸”という言葉が見え隠れするのは何故だろうか。




いつも全てが…全てが自分中心でないと嫌らしい。



本当に困った、ワガママな王子様。



「え…いや、えと…」



強い圧迫を感じながら、あたしは瞳を泳がせた。



真上にある王子の指先を見ようと、視線を上に持ち上げる。



「…俺、先に部屋に行っとくわ」



王子は色味のなみ瞳でそう言うと、一人スタスタと階段を登って行ってしまった。



「……は……」



そんな理不尽極まりない王子を、あたしは開いた口で見送る。



「もぉ!千亜稀ちゃんが一人ニヤけているからですわ!!」



マミヤちゃんが階段を降りてきて、あたしの腕を叩く。



「そ、そんな言ったって、こんなことで怒るなんて思わないじゃん!!」



あたしはそれに抵抗するように、強気で言った。



「もぉ!馬鹿馬鹿!千亜稀ちゃんてば、無神経ですわっっ!これだから、花より団子の千亜稀ちゃんは!!」



「ひ、ひど…っ!」



散々な言われように、あたしは涙がちょちょぎれる思いでマミヤちゃんを睨んだ。

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