第5話
王子はおじ様似。
咲人くんはおば様似。
どちらに似ても、こんなにカッコいい…。
「―――…」
そんな王子を見て、ぽけ~っと惚けていると、そんなあたしに気がついて王子が視線を上げる。
「なに?」
自分がどんなに色っぽい顔をしているって気がついてないみたい。
あたしは言葉を失くして、パチパチと目をしばたかせた。
専用のキャビンアテンダントが飲み物の準備をしているのを横目に見ながら、あたしは小さく考える。
元恋人のエミリーと、現恋人のあたしと…。
王子の親戚や、エミリーの親戚…、それにお偉い方の皆様に、なんて思われるんだろう…?
あたしって一般女子の代表といわんばかりの容姿に中身に家柄だし…。
あたしを連れてて、王子は恥ずかしくない…?
ジッとそんなことを思っていると、王子が言った。
「……誰もそんなこと気にしてねーよ。……つーか、誰にも言わせない」
「――!」
王子のそんな言葉に、あたしはキュンと胸が鳴く。
考え込んでいた頭を持ち上げて、あたしは王子を見据えた。
何気なく言った言葉なのか、王子はさっきと同様、本に視線を落としている。
あたしは、そんな王子の姿にニンマリと頬が上がる。
王子とのこの時間を、手放したくない。
ずっとずっと、王子に捕まっていたい。
いつも、いつも…王子に振り回されていたい…。
そんなことを思ってしまう。
「っ」
あたしは隣に座る王子の腕に、ギュッと抱きついた。
「――…なに?」
そんなあたしに、王子は冷静な瞳で問う。
「なーんでもないっ」
あたしはニヤニヤと頬を緩めて王子の腕に抱きついた。
「!」
その瞬間、王子の唇に捕まる。
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