第3話
すると、大勢の人があたしのことを取り囲んでいた。
「…やっと起きましたわ」
マミヤちゃんの声がする。
あたしはその声に驚いて、ギュッと振り返った。
「やほー!ちーちゃんてば、すげー特技」
そこには充くんもいる。
「……そんな所に貴重な特技使わなくていいから、もっと有効活用してほしいよ。特技なんてそういくつもあるタイプじゃないのに」
シレッとした顔で、そう言うはあたしの王子。
彼氏様!
あたしはグッと奥歯を噛みしめて、王子と向き合う。
いつの間にか、授業は終わり、あたしは一人、廊下で晒し者になっていたらしい!
「お、起こしてくれたったいいじゃん!」
あたしが噛みつくと、王子は涼しげな瞳であたしに言う。
「…いつの話?朝?それとも今?」
フッと、いつものあの笑みを零してあたしを見る。
「…ッッ」
そんな、嫌味な表情にも、ときめいてしまう修行の足りないあたし。
もう、2年!
丸2年!
王子と一緒に暮らしているというのに!!!
「あ、そうそう。4月の下旬から、ドイツ行くから」
――!?
突然、世界の中心は我にあると言わんばかりのこの男がそう言った。
「……は?」
あたしは、動きが止まって聞き返す。
それでも、シレッとしている王子は言う。
「陽聖とエミリーの結婚式。日にちが決まったらしい」
王子は興味なさ気の顔のまま、窓の桟に頬杖をつくようにして言った。
「な・なんだってぇぇぇぇぇ………っ!!!!!」
ビュホ―ン……
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