大学の夏休みって長いでしょ？前半はサークル合宿とか行ったりしてたんだけど、後半は時間持て余しちゃって、ちょっと遠いけど実家に帰ったんですよね。実家の方が北だったから涼しいかもって期待もあって。

丁度お盆シーズンだから電車は混んでたんですけど、地元に着くと全然人がいなくて。すれ違う町の人達が「おかえり」「よぉかえったなぁ」って言ってくれたところで、あぁ、かえってきたんだなぁって思いましたね。

商店街を通ると、懐かしい店々の奥から「おかえり」「久しぶりやなぁ」「おかえりなさい」と、声が、次々に飛んできました。

ありがとう、ただいま、答えながら商店街を抜けました。

そこで気づいたんですよね。

帰ってきた、と思っていたのは自分だけで、そこでワッ！って逃げ出して良かったです。あの存在の『孫』の代わりに連れ去られちゃってたんですよね。

いい大人なのに。逃げ出してなかったらどうなってたんでしょうね？

羽矢歌/暗裏/酢豆腐/芝生

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