『またたくカフェ』
大学生のAさんはカフェ巡りが趣味である。
「まだ人に知られていないような場所を探して、SNSに投稿するのにハマっていました。その日も路地裏に入り込んで、新しいお店がないか探していたんですが……」
雑居ビルの一階にコーヒーのあしらわれた看板が吊り下げられてる。
『喫煙出来〼』の張り紙もある喫茶店だ。
だが、扉が襖だった。
「スライドで開閉する、アレです」
和風喫茶か、興奮してきたな、と入る。そこで、
「意識が、飛んだというか」狐につままれたような、瞬きをした瞬間自分は既に席について注文を終えていた。
記憶にないのに『注文した』という確信だけしっかりとあり、動揺して店内を見渡すも客は自分一人しかいない
料理を運んできた長身の男に、「あの…」と言いかけたら
「覚えてないということは、覚えなくていいか、覚えたくないことが起こったんじゃないですか?」と薄ら笑う。
パイの中身を聞く勇気は、自分には無かった。
八重垣/芝生/いい/暗裏
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