第89話
充くんと手を握りあっているのは、顔だけは知っている女の子。
絶対マミヤちゃんが許したりしないはずなのに、こういう場ではマミヤちゃんも黙ってみるしかないってこと?
今までどんなに充くんが他の女子に、写真を撮ろうとせがまれても、近くで睨みを利かせていたのに。
それはもう…鬼の形相と言っても過言じゃないくらいの顔つきで。
なのに、今回は何かがおかしい。
女の子と踊る充くんの傍、マミヤちゃんの姿はきちんとある。
なのに、おかしい。
だって、それは…。
「…囁きによれば、先にくっついたのはマミヤ達のほうらしいよ」
「∑!!!」
あたしは王子の言葉に驚愕する。
「な、なんで…?」
あたしは塞がらない口で王子に訊ねた。
「…。さぁ?心変わりってやつなんじゃない?」
王子はスッと視線を外して、掴んでいたグラスに唇をつけた。
王子は無頓着にそう言う。
「な、なんで!?そんなのおかしいよ!!」
「おかしい、も何も、人の気持ちなんて分からないじゃん」
素っ気無い王子の言葉にあたしは納得がいかない。
なんで?
なんでマミヤちゃん、ピエと踊ってるの…!?
ステップで、距離が離れると充くんはマミヤちゃんの方を気にかけるように瞳で追う。
そんな横顔を見て、あたしは何とも言えない気持ちになった。
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