第77話

上品な音楽が流れる、本当に本当の外国のお城。




“大広間”って名の、ホテルの裏手にある小さなお城。




チャペル?



そんな感じ。





「マ、マミヤちゃん~。本当にこんな格好で行くの~~?」




あたしはマミヤちゃんの手を引っ張って、後ろに重心をかける。




スケスケのドレスに…あたしのこの髪…。




「絶対綺麗ですわ。克穂も惚れ直すかも」




マミヤちゃんがにっこり微笑めば、その笑顔にホッとする。




ほ、本当に大丈夫…?




あたしはマミヤちゃんのその笑顔に促され、ドアの前に立った。




ガチャ…




ぺカーー!!!




眩い光があたし達を照らし、高貴な音楽があたし達を包み込む。




「ま、まぶし…」




あたしは手をかざし、目が慣れるのを待った。




「遅い」




光の中から声が聞こえる。




「って…千亜稀…?」




この声の主は王子だ。




あたしは慣れてきた瞳で王子を見上げた。




(は…?)




王子が身に纏っている服装。




あたしはその格好にポカンと、開いた口が塞がらなかった。

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