第78話

昔のアニメの…名前を思い出せないけれど、帽子にトサカをつけた恰好をしている人もいる。




王子様や、騎士の姿、冠に赤いマントを羽織っている王様スタイルの人もいた。




なのに…。




その中でも敢えてこの服装を選らんだらしい王子が、あたしの目の前に立っている。





その姿は…




「か、海賊!?」




ターバンのようなものを腰に巻いて、白いシャツに少しダボダボのパンツ。




頭には、船長らしく帽子を被っている。




「抵抗するのに疲れた…」




服を選んだのは、おばあさまなのか、誰か勧める人がいたのか、王子はぐったりと嫌気のさした顔をしている。




少し荒っぽい恰好が、いつもの王子じゃないみたいで、あたしはドキドキと胸がなる。




海賊の服装って少しだけ汚らしい、というか…それが男気溢れてて男らしさを増殖させる気がする。




ワイルドな王子にあたしはドキドキと胸が鳴った。





「…千亜稀は…なんの恰好?雨の精霊?」




王子があたしの恰好を視姦する。




ジッとその瞳に見つめられると、見つめられたところから体が熱くなる。




第一、スケスケだし、風がなびく度に肌が見えちゃうし。




あたしは必死に裾を押さえた。





「い、一応…人魚姫」




あたしは、虫の鳴きいるような声で言う。




(そ、そんなことよりさ…)




王子は腕を組んで、あたしの顔をジッと見つめた。

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