第66話
「えぇ!!!告は…!!!」
思わず城内に響き渡る。
「くって…!そ、それってホントなの…?」
いつもなら、マミヤちゃんの手が飛んでくるはずなのに、今日はそれがなかったので、自分で口に蓋をする。
あの倒れた夜のこと、充くんと部屋に帰る前にピエに呼び出されていたらしい。
「…本当、ですわ」
「ま、マジ…」
あたしは他人の視線を気にしながら、王子・ピエ・充くんの存在が近くにないことを確認してマミヤちゃんに近づいた。
「な、なんて言われたの…!?…答えたの…?」
長い廊下、窓は格子が埋め込まれ、そのガラスの外に写るのは、さっきの湖。
ゴクッと喉を鳴らした瞬間、さっきの白鳥たちが数羽空に旅立った。
薄い青空に羽ばたく羽の白い色は、柔らかい雲とは対照的に、凛々しく遠ざかっていく。
異国の地であるこの空間で、あたしはマミヤちゃんの上腕部分を掴んで答えを待っていた。
「…覚えていませんの…」
「へ?」
予想外の返答にあたしは意表をつかれて、舌が飛び出る。
「ピ、ピエの告白…何も覚えてないの?」
あたしの問いかけにコクッとマミヤちゃんは頷いた。
「へ…っ!?」
あたしはマミヤちゃんに食らいつくように近づく。
「だって…あの夜は初めての体験ばかりが続いて…その、倒れる前の記憶があんまりありませんの」
マミヤちゃんは口元に手を添えて、視線を泳がせて言った。
は?初めて?
マミヤちゃん、告白されたの人生で初めてなの!?
あたしはその事実に驚いて、大きく目を見開いた。
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