第65話
1時半が回り、ガイド兼あたしのような生徒のための通訳さんがあたし達に説明する。
「今からお城の中を見学します。…が!写真や撮影等は出来ません。また展示物などに触れることも出来ません」
簡単な説明を受け、あたし達はいよいよお城の中に入った。
「わぁ…ッ」
そこに広がる部屋は、暖炉に赤いカーペットにキラキラのシャンデリア。
暖炉の上には、肖像画をかけてあっただろう金縁の額。
上品な緑色のソファー生地に、肘置きや脚などはこれまた金色。
みんな凄く感激しているのかと思いきや、かなり冷静で、思わず声を上げたのはあたしだけだった。
「おばあさまのお家みたい」
みんなそんな事を言っている。
(これだからボンボン&お嬢たちはぁ!!)
…まぁ、
確かに思い起こせば王子の家とかなり近いものがあるし、物珍しいわけじゃないと言えばその通りだ。
添乗員は、冷めたあたし達の反応に若干不服そう。
部屋を一つ一つ回る度、声になりそうな感激を呑み込んで、あたしはお城の中を歩いていた。
「千亜稀ちゃん…」
そこでポツリと言葉を漏らしたマミヤちゃんを、あたしは少しだけ驚いて視線を当てた。
「ど、どした?」
沈黙に慣れつつあったああしは、少しだけ緊張して返事をする。
「千亜稀ちゃん、あのですね…」
マミヤちゃんは静かに言葉をこぼした。
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