第61話

それからと言うもの、ピエは事あるごとにマミヤちゃんの隣にいる。




「マミヤ!この白鳥、マミヤみたいで綺麗だな」




満面の笑みでクサイ台詞もポンポン吐けるピエに、マミヤちゃんもか弱い笑顔を見せていた。




お城の前にある、大きな池のほとり。




小さい頃、少し憧れた“白鳥の湖”の湖の、現代版といった感じ。




公園と形で整備されていて、水面の高さまで近づけるように階段が作られている。




そこにしゃがんで餌を与えるピエとマミヤちゃんの背中。




「ほら」




ピエがマミヤちゃんの手のひらに餌を分けて、二人で白鳥に近づいていた。




「…ねぇ」




あたしの隣、背伸びをするように背中を伸ばす充くんに、あたしは口を動かさずに呟いた。




「?なに?」




澄んだ空気を吸い込んで、爽やかそうにイギリスを感じている。




あたしはピエとマミヤちゃんに視線を置いたまま、無表情に充くんに言った。




「本当はどう思ってんの?」




「は?」




「マミヤちゃんのこと。ただの幼馴染みなの?」




あたしは最後の問いかけと同時に充くんへ視線を移した。




真剣なあたしの問いかけに、充くんも少しだけ目を見開いた。




でも、すぐさまその表情はいつもの緩い感じになって、目を細める。




「…。可愛いなぁ、ちーちゃんは。克穂はそういう所に惚れたんだろうね」




そう優しく微笑んであたしに頭をさすった。




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