第59話
カシャー!!!
フラッシュの光にあたしは目が眩む。
(ま、また新聞部!?)
あたしは目を細めて見つめると、
「Good!」
さっきのレジのお姉さんがポラロイドカメラを持って、グッと親指を突き出していた。
振り返ると、王子の後ろにもう一人の店員さんが立っている。
その顔は満足気に微笑んでいて、カメラを持った女の子にニコニコと笑いかけていた。
「Good job!」
そう言ってカメラを持っている店員のほうへ足を進める。
「For you」
パタパタと写真を振りながら、その女の人はあたしに写真を突き出した。
「あ、thank you」
幾分か発音練習が役に立ったらしく、その女の人にもちゃんと通じたようだ。
その写真を受け取ってあたしは目を丸くした。
「な、な、なはーーーーーー!!!」
そこに映っているのは、ベア耳をつけた王子とあたし。
悲しいことにあたしはマゲ耳だけど、王子が耳をつけているなんて永久保存モノ。
さっきは視界の上にあった王子の顔を見上げると、王子はめんどくさそうに頭の上に乗っかっていた耳カチューシャを外した。
(生で見たかったけど…でも。Good job! Good job!)
あたしは心の中で連呼する。
そしてその写真を握り締めて、喜びで瞳を閉じた。
(サイコーー!!!)
カシャー!
はたまた店内でシャッター音が響き、振り返るとマミヤちゃんと充くんが肩を並べて撮られている。
しかもマミヤちゃんの肩に腕を回しているので、数秒後にマミヤちゃんは発狂するだろう。
あたしの熱で、ベロンと仰け反る写真はそのまま、二人に意識を飛ばしていると、カメラマンの女性が写真を渡すが、マミヤちゃんは動かない。
(…フリーズしちゃった…?)
あたしは心配になって背後から近づいた。
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