SS♥3

想い。ときどき、雨。

第56話

イギリスの天気は変わりやすい。




さっきまで晴れていた日差しも、今は陰って涙を流しそうな雲行きだ。




今日は市街地を自由に観光。




みんな同じような制服で歩いていると宗教的な要素だと思われて、スリとかにも遭いにくくなるらしい。




とは言っても、乙女川の制服はイギリスの学校の制服にも感じが似ているので、学生というのはバレてしまっている。




「マミヤちゃん…?昨日何かあったの?」




あたしは流れる雲を見上げた後、マミヤちゃんに聞いた。




「え?…特には何も」




マミヤちゃんは、昨日同様力なく微笑んで返事をする。




テディベアが、兵隊さんの格好に着飾っていてとても可愛い。




それを持ち上げながら、マミヤちゃんはあたしから視線を逸らした。




4人一組、もしくは5人一組で回れば良し。




「マッミヤ~!こっちのが可愛くない!?」




棚の横からひょいっと顔を出す姿。




「なっ!!!」




ミッキーマウスの耳のように、テディベアの耳カチューシャをつけたピエが顔を出した。




反応したのはあたしの方で、王子に似た顔で耳カチューシャなんかつけているから目を奪われる。




ぶっちゃけ、マジで可愛い!!!




耳をつけたまま、何かをガサゴソと探していて、あたしが大口を開いて赤くなってしまう。




(……ッッイイ!!!)




王子は絶対こんな耳とかつけてくれないだろうから、ピエで目の保養。




絶対見れない秘蔵ショットをあたしは目に焼き付けた。




あたしがパチンッと喜びの指パチをして目をつぶると、ピエがふわっとマミヤちゃんの頭に何かをかけた。




「?」




マミヤちゃんはそれを手で触る。




「なんですの?」

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