第49話
この男の独占欲?というか、なんていうか、怒りの逆鱗が地雷のように潜んでいて、あたしははわはわと視線を回す。
覆いかぶさる大きな身体にあたしは身動きが取れなくなっていた。
「ご、ごめ…」
瞬時に塞がれる唇。
ちゅっと甘い音を落として、王子が唇を離した。
「…そんなんじゃ離れてられなくなる」
ぐっと瞳を狭めて王子が言った。
その瞳は何か葛藤にかられているような熱い瞳。
想いの丈が伝わってくるような、恥ずかしくも心地よい、そんな波があたしの中に押し寄せる。
思っていたよりもずっとずっと王子の想いは熱いんだ。
全て管理していないと許せない、手の中にないと許せない、そう言っている心地がする。
そんなのいつか逃げ出したくなるはずなのに…。
なのに、いつの間にかそんな檻に囚われているのが心底気持ちいい。
温かい。
安心できて心地がいい。
あたしはこれからも、ずっとずっとこうやって王子の手の中にいるのかな。
大切に、大切にされて、こうやって幸せを噛み締めていくのかな。
狭めた瞳の王子を、そっと下から見上げて、あたしは言った。
「は、離してもらうつもりなんて…ない、よ?」
恐る恐る言ったあたしの言葉に、王子はふっと顔を綻ばせた。
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