第48話
「そんな格好で会いにいくわけ?」
すっと冷たい視線を見せて王子は言う。
その冷静で、冷たい炎に包まれた視線が上から降り注ぎ、あたしは胸元を押さえた。
すっと見せるまぶたにあたしは胸がドキンとなる。
廊下の照明が作る、頬に落とすまつげで出来た影。
「で、でも…」
あたしは王子から顔を背けて廊下の先を見た。
そういう強い視線って、交わしているとドキドキしちゃって逃げたくなる。
すっと体をよじったあたしを王子は見逃さない。
王子はドアに追いやられたあたしに被さるように立ち、少し濡れたあたしの髪を掴んだ。
「こういう格好でさ、俺以外の男の前に出てんなよ」
つんっと冷たい瞳で王子が言った。
は………はぃ?
あたしは分からず首を傾げる。
「何この格好」
そう言って王子はあたしの胸元をぐいっと引く。
「ギャッ!!!」
ボタンがついた典型的なパジャマ姿のあたしは、そう引っ張られると上から肌が見える。
「何この髪」
濡れた髪をぐっと掴んで王子が言う。
「分かってる?こういう格好にどれだけ男って反応するか」
その瞳が怒っている。
ついて行ったうんぬんではなく、この格好でドアを開けた瞬間からアウトだったらしい!
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