第42話

自然と顔の綻ぶ俺に、マミヤは言う。




「…怖いですわね」




怖い?



大丈夫、俺が守ってやるからぁ!




と、集合が解けた帰り、手を広げてみるが、俺なんて無視!のマミヤが奴に話しかけていた。




「ん~…でもそういうのに引っかかるのって…」




口元を歪ませて返事をするのは、俺の最大のライバル充っち。




昔、コイツがイタリアにいた時、よく食事会とかで会っていた。




まぁその時から、何やらオーラを感じさせる男だとは思っていたが、まさかココで対面することになるとは思ってもいなかった。




マミヤは確実にコイツに惚れている。




でも、充っちは…。




「ですわね。注意を受けている間中、部屋に残してきたことが気ががりで仕方ありませんわ」




オロオロと心配が顔に出ているマミヤの横で、充っちはいつも一定の表情を見せるんだ。




「…まぁ、大丈夫、でしょ。ちーちゃんもそこまで…」




そう言って、言葉を止めた充っちの視線の先を、俺とマミヤは二人で辿る。




なぁ!?




そこには今の今、注意をされた、部屋までやってくる外国人には気をつけなさい、と話にまんまと引っかかってるちーちゃんの姿が会った。




「ち、千亜稀ちゃん!!!」




ヒステリーショックで、金切り声を上げたマミヤを充っちが支える。




(あ!それ俺の役目だったのに!!!)




とか言ってる暇もなく、俺は充っちに視線を当てた。





「おい、陽聖!克穂に連絡しろ!」



連絡?




連絡って、それよりちーちゃん助けないと危ないんじゃね!?




「なッ…!そんな言ってねぇで俺らが追いかけた方がいいんじゃ…!?」




そう問いかけると、充っちは既にマミヤに「大丈夫だから」と安心させる言葉を並べていた。





(カッチーン!!!)




「そんな連絡してる暇があったら俺が追う!」




くぅっと唇をかみ締めて、俺は3人の消えた廊下を走って追いかけた。

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