第35話

そうやって冷や汗を流していると、聞きなれた声。




「…いつ見ても綺麗ですわね」




どこからかマミヤちゃんの声が聞こえてくる。




後ろを振り向くと、逆サイドの同じ場所でピエと二人、眼下に広がる景色を眺めていた。




(あぁぁぁ!!!)




『そろそろ着陸態勢に入ります。席をお立ちのお客様は座席へお戻り下さい。シートベルトをしめ、席をお立ちになりませんよう、ご協力よろしくお願いします』





「席戻るぞ」




アナウンスが入り、ポカンとしていたあたしの腕を引いて、王子は席に戻っていく。




(へッ…!?)




ピエからマミヤちゃんを助け出すために席を立ったわけではなかったの!?





「え、ちょっと待ってよ!!このままじゃぁッ…」





ズルズルと引っ張られながら、あたしはマミヤちゃんの方を必死で向いた。





王子は無視してあたしを連れて行く。





「あ、すみません」




だなんて、綺麗なアテンドさんに会釈をしているからあたしはギリギリと歯をこすった。





「ねぇッ!!!もぉ!」




手を振り払おうとした瞬間、後ろから声が聞こえた。

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