第25話
━ピエとの問題が勃発した日の夜。
いつもならゴロンと、まったりタイムに入ってもおかしくない時間なのに、王子はソファーの端に座って動かない。
肘置きに頬杖をついて冷たく足を組んでいる。
一応一緒の空間にはいるけれど、ぴりぴりとした空気が漂っていた。
「あ、あの…?」
「…」
王子はピクリとも動かず、ブラウン管から流れる声だけが返ってくる。
あのクソピエールのせいで、王子が変な誤解をしてしまった。
王子の顔だけで付き合ってるとかいう、言われもない全くの推測話。
確かに王子の顔、…好きだけどそういうことじゃない。
誰でもいいわけじゃない。
王子が王子だから、好きなんだ。
いきなりのことで、少しだけピエと王子を間違いそうになってしまったけれど、ちゃんと自分で気づいたよ?
蜜ちゃんとあたしを間違わないでくれたことがあたしは嬉しかった。
でも、今の王子は…
あたしも少し感じそうになった、そういう気持ちを感じているのかもしれない。
あたしはちゃんと“克穂”自身が好きなのに。
あたしはソファーに座ったまま、隣にいる王子の方を向いた。
「あ、あのね?今日のことは本当に勘違いだからね?」
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