第26話

あたしの言葉にすっと視線を動かして、あたしを見つめる。




「…勘違い?」




組み合わされた脚はそのままで、視線だけをこちらに移す。




流した瞳は、計り知れないほどの魅惑の輝きがある。




大人っぽくなっちゃって、色めかしくなっちゃって、あたしはドキドキを忘れない。




その魅惑の色を振り切って、あたしは頷いた。





「う、うん!勘違い!」




「…じゃなんで?本当に好きって分かってる?」




つんと冷たい瞳があたしを捉えて、組んでいる足を解いた。




開いた脚の上に両肘をつき、今度は斜め下からあたしを見上げている。




「分かってるわけ?」




王子がもう一度、強く囁いた。




あたしは、その真っ直ぐな瞳を直視できない。




最近の王子は前より、うぅんっと素直になっていて時たまこうやって、あたしを戸惑わせる。




強い瞳が、あたしを求めている。




好き、って言って欲しいって訴えている。




強さの中に、時折見せるこんな弱々しい瞳に、あたしは翻弄されてしまう。




あたしはもじもじと手を拱いて、視線はあさってを向きながら、そっと口を開いた。





「…分かってる…よ?あたしは…か、克穂のこと…」

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