SS♥２

異国の地、恋のバイブル

ｺﾞｫｫｫｫｰ…

『アテンションプリーズ、ただ今当機はThe united kingdom of Britainへ向け、出発しました。所要時間は12時間30分。到着は現地時刻の18時20分を予定しております。では、お時間の許す限り、ごゆっくりおくつろぎください』

ピエがやってきて１ヶ月。

あっという間に時は過ぎて、今は10月初め、修学旅行１日目。

たった今東京を後にして、イギリス目掛けて飛んでいる。

そう…修学旅行はな、ななんと！

イギリスなんですー!!!やったね♪

「…初めてエコノミー座った」

隣で席の狭さに驚いている王子。

「ていうかなんでここに座ってるのよー!!!」

おばあさまの甘さは困ったもんで、クラスの枠なんて関係なく、みんな好き放題に席を決めていいという始末。

夏の色恋香の残り香なのか、なんで学年中が浮き足立っているんだろう？って思っていた。

原因は、こういうことね。

周りを見渡せば、みんなカップルで仲良かったり、グループ交際のようにワイワイしていたり、本気の本気で修学旅行を堪能している。

あたしは立ち上がって、後ろの席を覗く。

ピエは隣に座るマミヤちゃんを見て、マミヤちゃんは隣に座る充くんを見て、充くんは一人ひょうひょうとアイマスクなんかしちゃってお休みモードに入っている。

「…」

Σギクッ

そんなあたしをチラリと、王子は横目で見ていた。

そうして、ふっと視線を前の座席の後部についているテレビ画面に移す。

リモコンでピコピコとチャンネルを替え、洋画に設定していた。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい