第21話
あたしはソロリと横目でマミヤちゃんを見る。
今は理科の時間で、マミヤちゃんとは隣同士。
横顔だけでも瞳は大きくて、くるくる巻かれた髪の毛は艶やかで眩しい。
理科室は少し薄暗い雰囲気なのに、マミヤちゃんがいるだけでそこに華が咲いている。
ピエが一目惚れするのも分かると思う。
ていうか、王子は長年一緒にいるからマミヤちゃんの可愛さに気づいていないだけ?
凡人のあたしと並ぶと、ますますその綺麗さは際立つから、世の男なら絶対マミヤちゃんに目が行くはず。
『ちょっ!!?冗談じゃない!!!』
『そこを何とか!お願いします!!千亜稀さま!!』
『か、勝手に様とかつけないでよ!あたし、無理!そんなの出来ない!!!』
ピエがあたしの手を意地でも放さず、眉がハの字に垂れた王子顔でお願いする。
力いっぱい振り払いたいこの手も、王子の顔をされちゃうと、あたしは本気で振り払えない。
だって…顔が王子で、でもこんな王子見たことなくて、あたしはそれだけでトキメいてしまう。
『お願い…俺、今回マジなんだよ…』
シュンと瞳を落とす、あの表情。
『う゛…』
だって…マミヤちゃんの好きな人は…
『なぁ?ダメ?』
う゛ぅ…だって…マミヤちゃんは…
『…(キラキラキラ…)』
う゛ぅ!!!
『~~~~どうなっても知らないよ!?』
『Ya!ダンケシェーン!ちーちゃん!!』
あたしが折れた瞬間、コロッと表情は綻んで、ピエはにっこりと微笑んだ。
『き、期待はしないで…よ?』
そんな声なんかちっとも聞こえずに、ありがとー!とあたしを抱きしめて喜んでいる。
(うぅ…ホントに…あたしの馬鹿…)
あたしはピエの胸の中で、自分に罵倒を浴びせた。
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