第17話
「He~y!!イチャイチャしてますか!?」
三角帽をかぶったピエールが、シャンパンを片手にドアの前に立っていた。
ドアを開けたあたしの後ろ、邪魔をされた王子が負のオーラを放っている。
(…怖いからι)
「おい、千亜稀!今日は宴だ!祝杯を交わすぞ!」
そう言って、ピエールはドカドカと勝手に部屋に入ってきた。
「えぇ!?」
慌てるだけのあたしの後ろ、負のオーラ全開の王子がピエールの腕を掴んだ。
「おい、待てよ」
勇み足で進んでいたピエールがその力に抑えられて、斜めに体を倒す。
ギュッと振り返って、王子と向き合う形になった。
…ピエールはなぜか仁王立ち。
「なんだよ」
勝手に入ってきて、勝手なことをしようとしているのはピエールの方なのに、行く手を阻まれて大変不服そうな顔をしている。
フローリングの廊下に3人の影が落ちていた。
全てが自分中心に回っているかのような、こんな態度を見て、二人は確実に従兄弟だって実感してしまうあたしもあたし。
「邪魔しといて何言ってんだよ」
王子はハッと悪態をついて、回れ右をしながらあたしの肩を持った。
王子とピエールの2ショットは、鏡が向き合っているようで、あたしはハラハラ(正確にはドキドキ)と首を反らして二人を交互に見つめる。
「来日1日目にして天使を見つけちゃったんだもん。な、千亜稀♪」
瞬いたウインクで、バサッと音が聞こえるかのようなそれくらい長いピエールのまつげ。
黒髪になった王子が普段はしないこんな仕草をしているようで、あたしはドキドキときめいてしまう。
違うところにスポットを当ててしまっているあたしは、ピエールの言葉を全然掴んでいなかった。
「だから、何勝手なこと言ってんだよ。千亜稀って気安く呼んでんな」
王子もまた、論点がズレていて、自分の話を尽く無視するあたし達にピエールが業を煮やした。
「だから俺、恋しちゃったって言ってんだよーーー!!!!」
「………。
えぇぇ!?!?」
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