第14話

「…くじ引きで決まった…」




その言葉にあたしは肩が下がる。




す、好きだな…くじ引き…ι




あたしはヒクヒクと片方の口角を上げ、王子を見上げると、そんなあたしのマヌケ面を見た王子があたしの頭に手を置いて、小さく口を開いた。




「…変なコトされんなよ?」




半分しか開いていないまぶたで、あたしにそう釘を刺す。




つんと強気な瞳と、下から見上げるとくるんと綺麗なカールのまつげにあたしはドキンッと鼓動が踊った。




前までは冷たいだけだった瞳が、今では少し優しくて、でもクールな光は持ち合わせたまま。




ますます大人っぽくなった王子の人気は、たとえ“表王子”でなくなった今でも衰えることはない。




そんな王子の瞳を、トクンと感じ、あたしは小さく頷いた。




緩やかなトキメキが心の中で刻まれていく。




マミヤちゃん、あたしピエールになびくことなんてないよ。




どんな相手でも絶対王子には敵わない…




甘いトキメキが心の中で溶け込んで、あたしは王子とそっと見つめ合う。




優しい眼差しの王子は、ポンポンとあたしの頭の上で手をバウンドさせた。















「…なぁ。アレっていつもそうなの?」




マミヤちゃんと充くんの間、ピエールがそう呟く。




「「まぁ、大抵は」」




口を揃えて答える二人は、「いつものこと」と二人を見てもいなかった。




「くぅッ!悔しいけどあんなラブラブ度を見せ付けられると嫌でも認めちゃうよね」




女の子達は涙を飲み込む。




「…千亜稀ちゃんがいるから克穂くんを毎日拝めるんだもん。しょうがないよ」




ポンポンと肩を慰めあっていた。




「…ふぅーん」




日常の中のこんな一場面を、ピエールが興味深い目で見つめているとは、この時のあたし達は気づきもしなかった。

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