第12話

2学期早々、学園内の話題はこれで持ちきり。




『あなたならどっち!?優しい茶髪or凛々しい黒髪!?』




新聞にでかでかと掲げられた王子とピエールの写真。




あたしは掲示板に貼られたこの新聞を唖然と見つめていた。




王子は撮影を拒否したらしく、隠し撮りで撮られた横顔。




これがまたまたかっこいいんだわ!




ピエールはというと、顔は王子と同じようなものなのに、このサービス精神の旺盛さは天と地の差。




ピースを決めて、ガハハっと豪快に笑っている。




茶髪派か黒髪派か、人気投票をしているらしく、新聞部はかなり忙しそうだ。




「今までは黒髪って言ったら俺、だったのになー」




いつの間にかあたしの横に陣取った充くんが口を尖らせてぶつくさと言う。




「あたし達は充様オンリーです!」




すかさず集まった充狂の生徒が、充くんの後ろでガッツポーズを決めた。




「あ、ありがと」




苦笑いを浮かべて、あたしの背中を押す。




「俺、この子ら苦手なの。どっか行こ」




「う、うん…」




その囁き声に先導されて、あたしは充くんと教室に入った。




「ち~あ~き~ちゃ~~~んーーー???」




その瞬間、妖魔があたしの背中を喰らう。




…マミヤちゃんだ。




充の現れるところにマミヤあり。




その鋭い嗅覚にあたしはタランと汗を流す。




「ご、ごめっιたまたまだから!たまたま充くんとそこで会っただけでっっ」




あたしは胸の前で手を振ると、マミヤちゃんはあたしの両手をガシッ!と掴んで目を大きく見開いた。

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