第11話

カポーン




学園長(つまり二人のおばあさま)の部屋に連れて行かれて、聞かされた今回のお話。




つまりは、黒髪王子こと佐伯原陽聖(ヒジリ)は王子のお父様の弟の息子…らしい。




(てゆーかピエールってなんだよι)




あたしは二人の間に座らされているので、横目で二人を交互に見つめる。




黒髪の王子、通称ピエールは王子と同じ遺伝子を受け継いでいるのは確実。




色素の薄い王子に比べると、色味の強い王子で、まつげは直毛でびっしり。




目元にかなりの迫力がある。




ていうことは叔父様も…すごい美形なのか…。




「おほほほほ。この2学期から陽聖もこの学園の一員です。克穂にはもちろん、千亜稀さんにも迷惑をおかけすると思うけれど、よろしく頼みますね」




優しい笑顔のおばあさまは、孫が増えてとても嬉しそう。




その喜びが伝わってくるから、あたしは戸惑いながらもコクッと頷くしかなかった。




「てことでよろしくなー!千亜稀ちゃん」




ガシッとあたしの肩に手を回すピエールに、あたしは全然馴染めない。




このスキンシップの多さは、咲人くんと相通じるものがある。




そして王子と似てるこの顔、でしょ!?




好きとかそういうのは関係なしに、違った王子を見ているようであたしの心臓は激動する。




(黒髪になった王子もいいかも~~~!!!!)




バシッ




一人悶絶し始めたあたしの隣で、ピエールの手を叩きはらった不機嫌王子。




「人のものに勝手に触るな」




この台詞と不機嫌な表情にあたしの瞳は爆破する。




ボンッ




(か、体…もたないかも…)

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