第7話

王子がにこやかな表情を浮かべて、あたしに近づいてくる。




あたしは反射的に後ずさる。




何だか、こんな不気味な王子は受け付けられない。




絶対何かを企んでいる。




周りの人たちも少し怪訝そうに、この状況を見守っていた。




バッ



王子が両手を広げて、あたしに近づく。




「!?」




「会いたかったよ、マイハニー!!!」




ガシーッ!!!




(えぇ!?)




(((えぇ!?)))




周りにいたみんなも、そんな王子の言葉に、行動に震撼させられた。




人前であたしに抱きつく王子。




『マイハニー』だなんて、またまた言っちゃった有り得ない王子。




誰もが少しだけ顔を歪ませた。




…王子のイメージが崩れた…




乙女川学園の歴史に刻まれる、悪名高い瞬間だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る