第3話

それから今日で13日目。



明日王子が帰ってくる。



嵌められる度に「こんのヤロ~」って思っていたけれど、いないとなるとやっぱり寂しい。




あの部屋は王子と一緒にいるから、明るいんだ。




一人だとつまんないし、電話から聞こえる王子の声が恋しくて仕方なかった。




そっと瞳を閉じて胸に手を当てる。




「むーらーおーかー」



(う゛)



教室に入って、先生という壁に立ち塞がれる。




「授業初日から遅刻ってどういうことだー!!!」




ググッと目を見開いて、眉がいきり立っている。




20代後半の明朗ハツラツの男の先生。



普段から声が大きいけれど、今はますます大きくて、あたしはギュッと瞳を閉じた。




「佐伯原が帰ってきたからって寝坊するんじゃないぞ」




そう言って、あたしを教室の中に入れる。




王子とはクラスが離れちゃったけど、マミヤちゃんとは同じクラス。




ほぉっとため息をついて、席につくと後ろの席のマミヤちゃんがクスッと笑った。




「やっと会えますわね」




その笑顔に曖昧に笑い返して、あたしは腰をおろした。




…って…




『佐伯原が帰って来たぁ!?』

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