第91話

王子はそのまま階段を降りていく。




え?


えっ?!




ちょっと待ってよ!



何よ!言い返しなさいよ!



『勝手にそんな事言ってんな』って言い返しなさいよ!




「かっ克穂っ?!」




一生懸命振り返りながら、あたしは王子に叫ぶ。




それでも足は止めずにスタスタと降りていく。




「ねぇっ新地離してっ」




あたしは新地の手を押した。




「これでいいんだって。これ以上振り回される必要なんてない」




新地は小さくそう呟いた。




うそ


そんなの嘘



あたしはもっと王子と一緒にいたいんだよっ?!





新地の手を振り払い、あたしは王子の背中を追う。




マミヤちゃんを通り過ぎ、王子を追った。





「千亜稀ちゃんっ千亜稀ちゃん…!あたくし…」




「…後でゆっくり話そうっ!!」




あたしはそう叫び、王子の背中目掛けて走り出した。



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