第90話

「でもそれって、千亜稀とその女を二人並べて、きちんと見極めろって言われたってことだろ?」




あたしが上手く表現出来なかった言葉が背後から聞こえてきた。




「…」




王子は眉をしかめて、その姿をキッと睨む。




振り向くと、いつになく頭の回転が速い新地がそう言っていた。




「…お前には関係ないって言っただろ。何かにつけて千亜稀の後ろをつけてきてんな」




「そんな言うなら泣かすなよ」




二人の火花散る視線の掛け合わせに、あたしとマミヤちゃんはそれぞれにオロオロと二人を見渡した。




「何隠してんだか知んないけど、そんな態度なら俺に任せろよ。お前は蜜とかいう女と仲良くやってろ」




そう言って新地はあたしの肩に手を回す。




「えっ?!ちょっ…っ?!」




「こういうこと。すかした王子様より生身の人間の方がいいってよ」




「あたしそんな事言ってないっ!」




回れ右をさせられたあたしは必死になってそう叫ぶ。




そんな事ない。



そんな事ない!




あたしは王子の事、すかした王子様だなんて思ってない!




「……」




え?




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