第84話
「泣き顔がブサイ…」
ここまで聞いて、あたしは新地の頭をスパコーンッッと叩いた。
ドキドキして損した!
優しい囁きにドキドキして損したっ!
ドキドキを返せ、このバカヤローッッッ!
なぜかあたしの方が真っ赤な顔で、新地を睨む。
叩かれてうなだれた頭と天井を指差す人差し指はそのままで新地は立っていた。
「…遠回しに言うと笑ってた方がカワイイという…」
「ひきつり笑顔でありがとぉぉ!」
あたしはムカムカと口元をひくつかせた。
……。
こういう気持ち、前もあった気がする…。
いつだったかな…あれは。
王子の事で苦しくて、悲しくて、元気が出なかった時に、前もこうしてくれた気がする。
……あぁ、あの時だ。
王子が女の子とデートした時。
あの時も新地はココにいた。
辛い時を知っているのか、こうやって隣にいてくれる。
いつもはムカつく姿の新地も、今は凄く温かい気がする。
柔らかくなるあたしの空気。
取り巻く空気が少しだけ、柔らかくなった。
「ひきつってたか…俺ってやっぱ嘘つけねぇな」
ピキ
「…どぉして新地ってそう一言多いのよー!!!」
.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます