第81話

「怒りをシャーペンにぶつけることしか出来ない奴だと思ってた」



新地はフッと笑ってそう言った。



「言えるんじゃん。思ってること」



よしよしと頭を撫でてくれるムカつくコイツ。



いつも興味なさ気な瞳も、今は少しだけ優しい。



そんな優しさが胸に響く。




枯れない涙が勢いを増した。




「っ…ムガづぐ」



「へぇ」



「大っギらいッ」



「あぁ」



「どっが行げっ!!」



ずっと頭を擦る新地の手を、あたしは両手で掴み、頭から離した。



ぜぇぜぇと呼吸の乱れるあたしに、新地は言う。




「それは出来ない。お前が泣いてるから」

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