第69話
びゅお~…っっ
また風が吹き抜けて、耳の周りがぶおぶおと風を感じていた。
いつまでも密ちゃんの声と笑顔が、頭の中を回っている。
いくら答えを探そうと躍起になっても、全く手応えもなく、あたしは沈む夕日へと意識が傾いていた。
風に対して、耳を垂直に当て、あたしはその「ぶおぶお」と聞こえる風の音から耳を守る。
すると今まで聞こえなかった話し声が聞こえてきた。
鮮明には聞き取れないが、どこからか人の話し声がする。
あたしは耳をそばだてた。
腰掛けたまま、一段一段階段を登る。
「・・・の?」
「だから・・・」
鮮明になったその話し声にあたしは全身の毛が逆立つのを感じた。
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