第60話

ニヤケる頬を整えるべく、あたしはマッサージをしていた。



こんな嬉しいことって今までなかった。



なんだかものすっっっごく愛+゚が伝わってきた瞬間だった気がする。



今までなかったよね?



こんなことって。



『乱される気がする』


『…そばにいろよ…』





きゅぅ~~~っんっ





あたしは苦しくなる胸を押さえて、ハァハァと息を荒げて親指を立てた。



「だ、大丈夫。今から戻るとこ」



「・・・?てか、一人で何してたの?」



不思議そうな顔を浮かべて、彼が言う。



え?


一人?



あたしは目の前(現には後ろ)にいるはずの王子の方へ振り返る。








ガーン!!



いないっ!!




「村岡って挙動不審だよな?佐伯原くんと一緒にいる時とか特に」



あははっと笑ってそう言うと、棚に手をついてあたしを見ていた。




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