第53話

「じゃぁ話は早い」



王子はあたしに近づいた。



あぁ!!Orn



あたしは肩を落とす。



王子の手にかかれば、どちらを選択しようとも右は右、左は左、白は白、黒は黒になるんだ。



王子はその瓶を開けてそっと指になぞった。




「…千亜稀の可愛い姿が見たいな…」



優しい笑顔でそう囁く。



あたしは耳が働かなくなってしまう。



王子の顔がひとたび微笑めば、頭は動きを忘れてしまう。



王子の指があたしの唇を優しく触って…



「舐めて?」



なんて優しく笑うから、あたしは従ってしまうんだ。



赤く染まった頬で小さく震えて、王子の指にキスを落とした。

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