第52話

「見ろよ、これ」



王子はそう言って、あたしにある物を差し出す。



「…媚薬だってw」



「は?」



王子は茶色い瓶をあたしに見せた。




ビヤク?びやく?BIYAKU?




What is bi・ya・ku?!




「びっbiyakuってなによ!!」



あたしは赤ら顔で王子に問う。



もちろん視線は避けて。



「…なんで外人風なんだよι」



王子は半笑いであたしを見た。



「てゆーか分かってるのに知らないふりしてるだろ?…それとも本当に知らない?」




あ…


この顔、何かやらかす気だ。



知ってるとか言ってしまったら…



いやっ!


ここは裏をかいて「知らない」と言えば「じゃぁちょっと舐めてみろよ」とか言い出しそう。



あたしは王子の気持ちを先読みする。



蜜ちゃんが現れてから、あたしってちょぉ~っと賢くなったんじゃなぁい!?



ニヤける笑いは堪えてあたしは王子に言った。




「…ホントは知ってる」

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