第43話

「アンタの方が数千倍可愛い」







・・・ア?怒




そう続けた麻生くんを、あたしは白目眼で睨んだ。



新地は、蜜ちゃんにはニコッと微笑んで、あたしにはフッとバカにした笑いを落とす。





どうしてこんなに性格の悪い男が多いんだ!





あたしはキリキリと歯軋りをして麻生くんを睨み、負のオーラを全開にする。



麻生くんは満足そうに前を向いた。




「なんてな。で、アンタ誰?」



いきなり真剣な表情に変わり、蜜ちゃんを見る。



蜜ちゃんは俯いていた。



「…田嶋川蜜歩」



唇を突き出して小さく名前を呟いた。




「…こんなからかわれ方は初めてだわ…」



蜜ちゃんは少し冷ややかな瞳で、新地を挑発するように見ている。




その呟きに、あたしは一人驚いた。

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