第44話

そろっと手を上げて、蜜ちゃんの耳元で囁く。




「克穂…くんには、からかわれたりしないの?」




蜜ちゃんの前で「克穂」と呼べない自分が憎い。



俯く顔は持ち上げず、蜜ちゃんは答えた。





「…あ。克穂以外は初めて、かな」





ゴーン




鐘が鳴る。



もしかして、あたしだけなのかも?なんて淡い期待は破れさってもずくに消えた。




って、何よ、このM発言!!



からかわれるのはあたしだけ、ってどんだけマゾ体質なんだよ!!



あたしは一人、頭を抱えて悶え込む。




王子と関わるとろくなことがない。



ろくなことがないっ!!



一人、頭の中で会話をし始めたあたしを横目に二人は囁きあった。





「…千亜稀ちゃんて、いつもこんな?」



「…大筋に」

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