第41話

「…千亜稀ちゃん、克穂とこの人のどっちが好き?」



っはぁ!?



あたしはギョッと蜜ちゃんを見た。



「なっなっっ?!!?そりゃっ!!!前の名前の人に…ゴニョゴニョ」



ここまで言うと蜜ちゃんは「ふぅ~ん」っと鼻を鳴らした。



唇を突き出して、瞳は天井を見上げ、何かを考えている風に見える。



あたしはというと、頬から首筋まで列ねて真っ赤になっていた。



後ろから麻生くんが無機質な瞳でこちらを見ていたことに、あたしは気づくはずもない。




「…てか、それ誰?」



麻生くんが低い声で唸った。



「…顔が同じに見えるんだけど」



その言葉に教室中が静まり返る。



みんなが言いたくても言えなかったことを、コイツはシャアシャアとぬかした。

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