第34話

「で、あの子はどうしたんじゃ?」



あたしは小さくため息を漏らして、王子の返事を待った。



「…千亜稀は今日は体調が悪くて…」



「じゃあ今日は欠席かの?」



「はい」



王子はそう言うと、おじい様は言葉を続けた。




「あんまりイジワルし過ぎてはならんぞ。女というものは優しさ8割で接してあげないと、す~ぐどこぞの馬の骨の優しさに騙される…」



「経験があられるのですか?」



王子はクスリと笑みを零した。



その冷静な反応におじい様は焦って話題を変えた。



「こうしてる暇はないんじゃった。今すぐ出発できるかの?」



あわわと焦っているかのようなおじい様の声に、王子は言った。




「ちょっと待っていてください」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る