第24話

「そういう態度やめてよ!こっちだって悪かったと思って謝ってるんだから!ちゃんと聞いて!!」



強気で言ってはいるが、膝は笑って役立たず。



ケタケタ笑っているくらいなので、どうにか立っていられる。



王子はあたしに視線を落としたまま動かない。



この身長差。



あたしがことづけしているはずなのに、王子が見下ろしているので負けている気分になってしまう。



王子の冷たい視線が痛い。



ネクタイを掴む手が次第に緩み始めた。



「…苛つくから」



王子が言葉を漏らす。




その言葉にあたしは手からネクタイが離れていくのを感じた。



冷たい空気が突き刺さる。



するりと手のひらからネクタイが外れ、生き返ったかのように握られていた部分が元の大きさに戻った。




「…わかった…」



あたしは瞬きも忘れて、廊下に視線を落とし、ぽつりと呟いた。



悲しくて仕方がなかった。



悲しい、というより…虚しい?



こんなもんだったのか、とあたしは悲しくて悔しくて、でも表情には表れなかった。

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