第23話

やっぱり怒っていた。



無視したというか、避けてしまったこと。



「ごめんってば」



不機嫌は治らず、腕を組んで玄関の方を向いている。



あたしはもう一度謝って、王子を下から恐る恐る見上げた。



今気がついたけど、別に正装もしてないし、制服のままなので「今夜」の約束を感じさせない。



あたしはようやく冷静さを取り戻し始め、周りが見えるようになってきた。




「…どいてくんない?部屋入れないんだけど」



あたしのお詫びの言葉を無視して、玄関を向いたままダルそうに言う。



小さなため息も追加して…。




そのため息に、あたしはカチンと頭の中で怒りのゴングが鳴った。




「人が謝ってるのにそんな態度取るの?」



冷静になって感じる、王子の幼さ。



ほんとにワガママ!



あたしは王子のネクタイを掴んで、玄関を見つめる王子をこちらに向き直らせた。

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